小児がんに対する重粒子線治療
重粒子線(炭素イオン線)は強い生物効果と優れた線量分布を有しており、放射線抵抗性で外科的切除の困難な腫瘍に対する画期的な治療オプションとして注目されています。小児がんでは、静岡県立がんセンターや筑波大学などで、陽子線治療の実績がありますが、これまで重粒子線治療(炭素イオン線治療)を用いた臨床試験は実施されていませんでした。現在までに、群馬大学では外科的切除不能の小児原発性骨軟部腫瘍に対して第1相試験を行いました。







一般の放射線治療では、エックス線、ガンマ線、電子線が主に用いられています。これに対して粒子線治療では、電子よりも重い原子核を加速してがん治療に用います。水素原子核(陽子)を加速する場合を陽子線治療、ヘリウム原子より重い原子核を加速する場合を重粒子線治療と呼びます。群馬大学の重粒子線治療は、炭素の原子核(電子をはぎ取られた状態、すなわち、炭素イオンとなっています)を用いるので、炭素イオン線治療とも呼ばれます。




1. 優れた線量分布/がん病巣に集中して照射
がん部位に集中的にダメージを与え、周りの正常部位
にはダメージが少ない治療です。 副作用は一般の放射
線治療に比べて少ない治療です。



2. 強い細胞致死効果/一般の放射線が効きにくいがんにも効く
エックス線に比べ生物効果が強いことが知られています。
例えば、今までエックス線が効きにくいとされてきた骨肉腫にも効果
を発揮します。







陽子線ががん細胞を死滅させる能力はエックス線など従来の放射線と同じですが、重粒子線はエックス線や陽子線に比べて、細胞を死滅させる生物作用が優れています。
化学療法抵抗性のがんは一般的に放射線抵抗性と考えられ、その場合、重粒子線治療が腫瘍に対し、より強い抗腫瘍効果が期待できると考えられます。





詳しくは当院重粒子線医学研究センターホームページをご覧下さい。




2011年~2014年:9症例/治療年齢:1~15歳
骨肉腫(骨盤部、肺転移)
ユーイング肉腫(胸壁)
未分化肉腫(骨盤部、上顎洞)等
術後の断端陽性症例への治療も行いました。
年少児の治療はデクスメデトミジンを用いて鎮静下で行いました。





ただいま小児がんに対する新たな臨床試験を準備中です。
お困りの症例がありましたら、当院小児科、または重粒子線医学研究センターにご相談下さい。

群馬大学医学部附属病院 小児科学分野 柴 徳生
群馬大学重粒子線医学研究センター 清原浩樹/大野達也
  〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22 Tel.027-220-7111(代表)